アブセイル/ラペリングはFAPへのアプローチ手段の一つ。
通常のL字降下だけでなく、ビルの壁面を駆け下りる≪オーストラリアン≫や頭を下に降下する≪コリアン≫など、多種多様の降下手順がある。これらのテクニックは、CT/IAコースとアブセイルコースで身につけられる。
≪ハーネス≫
大別してSASタイプのフルボディハーネスとウェストタイプの2種類がある。
どちらもコース内で体験してもらえるが、アウトドア用のフルボディハーネスは降下中にバランスをとりにくい。SASフルボディハーネスは「ホゾンの持子」原理を採用し、背中側のストラップ(横帯)が上下に動くためバランスをとりやすい。イーグル社製フィリップハーネスは90年代初頭からの定番ハーネスで、扱いやすい。
≪カラビナ≫
耐久強度
ロック形式
が選択基準となる。降下中に急停止すると一瞬でもかなりの負荷がカラビナにかかる。アウトドアショップなどで手に入る「メーカーが確かでないカラビナ」には注意が必要。登山用品店などで手に入れたほうがよい。また、SASでは素早く脱着できるスプリングロックタイプのカラビナを採用しているが、初心者はネジ式のロックシステムがよい。いきなりスピードを追求すると誤操作が増え、降下でなく落下することになる。
≪ディセンダ-≫
カラビナにつなぐディセンダ−(降下具)は、八の字型が定番。
ザイルの直径とディセンダー内径によって摩擦抵抗が変化し、降下スピードも変わる。有名なレスキュー8ディセンダ−は、11ミリ径のザイルと相性が良く、快適に降下できる。普通の八の字ディセンダ−では、ザイルがロック(ディセンダ−に絡みつく)してしまうことがある。両側に爪がついている物を選んだほうが良い。問題なのが、降下中のディセンダーの向きで、体に対して縦にねじれること。SASエイトディセンダーは、2つの穴を90度ねじることによってこの問題を克服している。CT/IAとアブセイルの両コースでは、多種多様のディセンダ−を実際に比較検証できる。
≪ストップディセンダー≫
民間から転用されたディセンダー。
色とフックの材質が違うだけで、性能などはまったく同じ。レバーを握ると降下し、離すと停止する。訓練が必要だが、握り具合で降下スピードの微妙なコントロールも可能になる。エイトディセンダーとストップディセンダーは自分の役割に応じて使い分けるのがSOP。詳しくはCT/IAコースの中で確認できる。
≪ロープバッグ≫
ロープを下に垂らして降下すると突入前にチームの存在を敵に知られてしまう。
そのため、足に固定したロープバッグからロープを引き出しながら降下することになる。無造作にロープをバッグに収納すると間違いなくバッグの中で絡まり、それ以上降下できなくなる。CT/IAとアブセイルの両コースでは、ロープバッグの活用方法だけでなく、収納のコツまで学べる。
≪ザイル/ロープ≫
CTのアブセイルには、伸縮性の低いザイルが適している。
カラフルな登山用ザイルは伸縮性が高く、急停止すると上下に伸び縮みする。目的の高さで停止できないようでは困るので、SASだけでなくSWATやレスキューも伸縮性の低いザイルを使う。
また、降下スピードはザイルとディセンダーの摩擦抵抗によって決まる。直径9mmのザイルでは抵抗が少なく速すぎ、13mmでは遅すぎる。11mmがベストだろう。SASエイトディセンダーやSASストップディセンダーは11ミリ径ザイル用に設計されている。
アブセイルコースでは、ザイルの種類ごとの特性やディセンダーとの相性なども確認できる。
≪ケイビングラダー≫
対テロチームは必要があればビルの壁を登る。
手際よくスピーディーに登る必要があるため、ラダー(梯子)を仕掛けるが、場所によってはフレキシブルラダー(縄梯子)を持ち込むことになる。ケイビングラダーは、元々洞窟探検用に開発されたアルミ製の軽量縄(ワイヤー)梯子で、重さが1.5kgしかない。
大型のフックにつなぎ、
三段高枝切りバサミのようなポールでフックをポイントに引っ掛け、
ポイントマンが登ってカラビナなどでラダーを固定し、後続が登る
というのがSEALやLAPD/SWATの一般的な手順。縄梯子は慣れないと強烈に登りにくい。CT/IAコースでは降下ポイントへのアプローチで一箇所ケイビングラダーを使う。
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