≪コンパス≫
軽量で丈夫なこと
シンプルで無駄な機能がなく、扱いやすいこと
ティリチウム
などが選択基準となる。この条件を満たしているコンパスとしては、アメリカのレンザティックとイギリス(NATO)のM73がある。
レンザティックコンパスは、大量生産品で値段も手ごろだが問題が多い。
ネジやプレートに鉄などの磁気性金属を使っており、磁針版に干渉するため、よく狂う。一番問題なのが個体差で、同じ機種なのに同じ目標物への方位角を測ると平均で2〜3度、最大で5度ほども違う。ピンポイントのナビゲーションには怖くて使えない。
M73は目を剥くほど高価だが価格以上の性能を発揮する。
油圧シリンダーで磁針盤が安定しているので、プリズムでの方位確認時も数字を読み違える可能性が低い。外皮もジュラルミン製でネジ類は真鍮製と磁気性の金属(鉄やステンレス)は、一切使われていない。磁北と完全に一致し、個体差もなく、ピンポイント測量が可能。一度方位角を設定すれば、蓋を閉じたままで使えるので、移動中の確認作業が面倒でなくなる。至れり尽せりの逸品で、一度使うとやめられなくなる。
コンパスは、ランドナビで生命を左右しかねない重要な装備となる。
落としたらアウトなので携帯中は脱落防止を徹底する。胸ポケットのボタンホールからパラコードで固定すると使いやすい。
≪シルバコンパス≫
プラスチック(アクリル)製のシルバコンパスは使用中にシリンダーが歪むため、油圧式は気泡が入りやすい(=磁針の精度が狂う)ので、オイルレスシリンダーのほうが良い。
軍用シルバコンパスは、L型距離スケールがボディにプリントされているので、プロトラクターも必要ない。地図とコンパスを手に持って移動するオリエンテーリングなどでも威力を発揮するだろう。
注意点は、環境の影響を受けやすいこと。
アクリル製ボディは衣類と擦れるだけで静電気を帯び、磁針を引き寄せてしまうし、非磁気性金属で包まれたレンザティックやプリズムよりも鉄塔周辺や車の横などで影響を受けやすい。寒く乾燥した環境でフリースを着ていると全身が静電気を帯びるなど、誤測位の要因はいくらでもあるので、ダブルチェックを心がけるなどするとよい。
≪ボタンコンパス≫
サバイバルキット内に入れる小型コンパスには、1円玉サイズのボタンコンパスが良い。細かい方位角の表示は必要なく、東西南北さえ示してくれればよい。ティリチウムタイプなら夜間も隠密に移動できる。サバイバルキット内では剃刀の刃など磁気性金属と干渉する(精度が狂う)ので、アルミ箔に包んで保管するのがSOP。
≪小型双眼鏡≫
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レンズ内の簡易測量用ミルレティクル2種
5ミル単位でレティクルが入っている。目標物の実寸さえ知っていれば距離を算出できる。また、欧米人(兵隊)の平均的な身長1.77m用のクイック測量用のレティクルもあり、3=300m、6=600m、8=800mとなる。
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軽量で丈夫なこと
レンズの解像度が高く明るくて視認性に優れていること
距離測量用のミルレティクル(ゲージ)が付いていること
などが選択基準となる。
ミルビノキュラーはこれらの条件を全て満たしているNATOミルスペックの官給品。
驚異的なのがレンズの明るさで、ニコンなど国内メーカーの最高機種よりも視認性がよい。レンズには防塵加工がされており、傷がつきにくい。
ミルレティクルは、対象物の実寸から距離を計算できる単位のことで、ミルビノキュラーでは、5、10、15の3段階の目盛りと簡易目盛りから目標物までの距離を素早く算出できる。
全体がゴムでカバーされており、タフな扱いにも充分に耐えられる。
携帯する際は、コンパス同様に脱落を防止するのがSOP。
ポケットのボタンホールにストラップ紐を固定するか、FFDポーチに入れるとよい。
≪ベータライト/グローリング≫
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暗闇で撮影したベータライト(左)とグローリング(右)
ベータライトは夜間にマグライトを使えない状況で地図を読むのに使うトーチ型のティリティウムライト。
ティリチウムの緑系の軟らかい明かりは、網膜に残像が残りにくいため、使用後すぐに視力(夜目)が回復する。
ケースに入れるなど、地図と同時に取り出せるように携帯するのがSOP。
グローリングは化学薬品製で寿命が約10年、ベータライトと同等の照度を誇る。何よりも廉価なのがありがたい。頭の後ろやベルゲン、襟元に吊るしておくと夜間の薮漕ぎで目印になり、チーム内での位置確認に利用することができる。マップリーディングで利用するには、熱収縮チューブなどで光が一方向に集まるよう工夫するとよい。
携帯するにはキーリングを外しコンパスの脱落防止用パラコードに繋ぐ、ドックタグのネックレスに吊るすなど、簡単に取り出し、収納できるよう工夫するとよい。 |
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撮影し直したグローリング
キャノンのD60を使用した。
(ISO:100、ホワイトバランス:オート、シャッタースピード:4秒) |
≪ペースカウンター≫
歩測のコツは複歩で一歩とカウントすること。
平地での一歩の長さの平均が140cm程度で、70歩程度で100mになる。もちろん足の長さや勾配の具合などの地勢によって異なってくるので、事前に100mを何歩で歩けるのか調べておくと精度が増す。
また歩測は、どれだけ注意していてもカウントをミスする。ペースカウンターを使い、100歩単位または100m単位でビーズを下げるとミスが減り、精度が増す。チームで動く場合は、最大と最小の2名のカウント数を除いた平均から距離を算出する。
ペースカウンターは、胸ポケットのボタンホールなどに固定し、外に垂らした状態で使用するのがSOP。どこを歩くにも歩数をカウントする癖をつければ、ミスも減る。
双眼鏡と歩測の両方で距離を算出し、ダブルチェックを徹底するのがSOP。
状況的に無理な場合は、2名以上で同じ目標物までの距離を計測し、確認しあうとよい。特に疲れてくると無意識のうちに手順を省く、計算間違いするなどで精度が落ちる。チームで確認するのがSOP。
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