≪アサルトスーツ≫
SASのCTオペレーションでは爆薬でドアを開ける。
チームの2メートル先でドアチャージやフレームチャージが2000〜4000度の高温で炸裂する。通常のジャケットやトラウザスでは派手に燃えてしまうため、燃えにくく熱を通しにくい繊維が必要になる。そのためSASのCTチームは難燃繊維のオーバーオール(つなぎ)を着用する。素材は最新のNOMEX第3世代アラミドで、かなり分厚い。アメリカ軍のフライトスーツの倍以上だろう。実験では635度の高温に耐え、被験者も軽い火傷ですんでいるが、これは同じ素材の下着を着用しての結果。NOMEXも万能ではなく、使い捨てライターの炎でも赤く炭化し熱を通す。耐熱というよりは、燃えにくい(難燃)繊維と判断したほうが良い。
このアサルトスーツはS・M・Lの3サイズから選択でき、外人サイズでゆったりめに作られているのであまりサイズにこだわる必要はないが、股下の長さに注意が必要。オーバーサイズだと少し走っただけでも股ズレで苦しむことになる。この問題は、アブセイルハーネスで余った部分を引っ張り上げることで克服できるが、ジャストフィットであるにこしたことはない。肩幅や胸囲、腕の長さにまでこだわるのならテーラーメイドタイプをお奨めする。
≪クイックリアクションベスト≫
SASはスーツ同様にベストにも難燃性を要求する。
防弾繊維ケブラーはNOMEX同様に燃えにくいが、ボディアーマーの外皮はハードコーディラナイロンなのでよく燃える。そのため分厚いスエード状に圧縮したアラミドNOMEX製のベストを採用している。このベストは、MP5マグポーチやグレネードポーチだけでなく、スレッジハンマー用ポーチ(右前面)とフレームチャージ&レスキューロープ用大型ポーチ(背面)、ラジオポーチなどの現場の経験から増設された機能を満載している。また左胸にタグがあり、CT400オーディオハーネスのPTTスイッチを固定できる。
≪タクティカルベスト≫
このベストは、カバートオペレーション(隠密作戦)用の多目的ベストで、CTでは使わない。
サーチ&デストロイなどのあまりカモフラージュを必要とせず、アサルトライフルの火力が必要なオペレーションでDPMスモックやジャケットの上に着用する。そのためマグポーチはM16用で、大型のユーティリティポーチやバトン(フラッシュライト)ポーチ、背中側の大型ポーチなど、必要な物を全て収納できる程のキャパシティがある。面白いのが両胸にあるインナーポケットで、空になったマガジンを放り込んでおける。裏側にはベルトループがあり、ローライドでホルスターを吊ることもできる。
タクティカルベストは都市部でのゲリラ的な戦闘や、暴徒鎮圧で有効に使える。私服の上に着用し、万が一のE&Eではベストを脱ぎ捨て、人混みに紛れるのがSOP。もちろんライフルも捨て、ハンドガンを隠して携帯する。
アサルトコンバットベストにもブラックタイプがある。ベルトループはないが、大型のインナーポケット内に内蔵ホルスターがあり、同じような目的で使える。
≪イェーガーベスト≫
アーバン(都市部)コンシール(隠匿)用の多目的ベスト。
アフガニスタンのカルザイ大統領暗殺未遂事件で、押し倒された犯人をBGごと撃ち殺したアメリカ特殊部隊員は、私服の上にM4をスリングで吊るし、その上に同類のベストを着用していた。彼らはPESと呼ばれるミリタリーの周辺警戒&即応チームで、アフガンのような無政府状態の国では、最低でもアサルトライフルを軸にしたチーム戦術が要求される。
火力と相反して目立たない(出すぎない)能力も要求されるため、地勢に合った色や素材のベストを着用する。これがなかなか効果的で、周りに無関心な一般人はベストの下から覗くアサルトライフルなど誰も気にも留めないが、アタッカーは下見の段階で目ざとく火力を分析してくれるので、そこそこの抑止力を期待できる。
イエーガーベストはタクティカル系の多目的ベストよりも長めで、尻が隠れる。セカンダリーウェポン(ハンドガン)をハイライド(腰の高さ)で携帯することもできる。
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