ほとんどのストーカーが被害者にイタズラすることで日頃のストレスを解消しています。
彼らは被害者に恐怖心を植え付け、ビクビクさせることで、私生活や仕事で溜めこんだストレスを晴らしているはずです。外出を控えたり、過敏に反応することは、相手と同じ低レベルで喧嘩しているのと同じで、相手を喜ばすだけです。
継続中の嫌がらせを止め、将来の再発を予防するには、攻守を逆転させる必要があります。反撃に法律的な意味合いを持たせ、自分の正当性をいつでも主張できる体制でトラブル解決に臨むのが理想です。
ここでは、正当な方法での解決を望む皆様のためにいくつかのアドバイスをします。
・基本的な流れ
- 穏便解決を図る
トラブル解決への姿勢が重要です。
穏便解決を試みたかどうかは後々に重要な意味を持ってきます。「同じ方法で加害者に反撃していないか?」「話し合いで解決しようとしたのか?」などは、正当性を主張する際の重要な要件となります。穏便な解決を望んだにもかかわらず、被害がエスカレートしたり、「つきまとい」や「待ち伏せ」など何種類もの執拗な被害を受けている場合には、半強制的に解決を図る必要があります。
- 半強制的に解決する
穏便解決できなかった場合は、半強制的に解決を図ります。
この段階では証拠が山ほどあり、法的措置を執る準備が整っているはずです。それでも、もう一度穏便解決を試み、加害者に最後のチャンスを与えます。信頼できる友人、または当社などの専門家を代理人として加害者と直接に面会させ、過去の嫌がらせの違法性を指摘し、法的措置の準備ができていることを申し渡し、「穏便解決」か「法的措置」かの選択肢を提示し、加害者自身に解決方法を決めさせます。
当社がこれまでに関与したほとんどのケースでは、この段階で解決します(ギャラリー参照)。合わせて、継続して証拠を集めていることなどを申し渡せば解決後の再発も予防できます。
しかし、ここまで思いやり深く、加害者のためを思って穏便解決を試みても、まれに開き直り、嫌がらせを続ける加害者がいます。この場合は問答無用で法的措置を執ります。
- 法的措置
何度も穏便解決を試みたがかなわず、やむなく司法に解決を任せるという姿勢が重要です。
証拠のある被害については、警察または裁判所に被害を届けるのが基本です。被害内容によって告訴状が必要な「申告告訴」と事細かに事情を聞かれる「聴取告訴」があります。
証拠がない場合などには 「ストーカー規正法」を理由に被害を届け出る手段もありますが、初期段階でこの法律はストーカー問題を刑事事件として扱わないことに注意が必要です。司法の中途半端な介入は逆効果になることもあります。ストーカー規正法とは別に証拠のある被害について司法に判断を委ねたほうが効果的です。
これら3段階の手順は、一見途方もない時間を必要とする解決方法のように感じられると思いますが、一番最速で常識的な解決方法です。
また、穏便解決と強制解決のどちらで解決するにしても「証拠」の質と量が重要です。
- 経過の記録
元恋人からの嫌がらせに悩んでいるのなら、交際のきっかけから別れた理由と時期、現在まで継続している嫌がらせについて詳細に記録してください。覚えている範囲のメモ書きでかまいません。日時がわかるように時系列(表形式)で、「相手が何を言ってどう反応したのか?」「何時ごろに何回連続して嫌がらせ電話を受け、相手が何を言っていたのか?」などの内容を漏れなく書き残してください。
事実をありのままに記録することが重要です。正確な日時を思い出せないのなら「何月何日頃」「何月○旬頃」のように書き残してください。
- 証拠の収集と管理
暴行を受けたのなら病院に行き、医師の診断書を取り付ける、携帯メールは自宅のパソコンに転送する、自宅ドアを蹴られたのなら足跡が、嫌がらせ電話なら着信記録が残ります。これらを漏れなく写真に撮れば、裁判でも通用する物的証拠になり得ます。受けた被害については、目に見える形で証拠を残すよう努力してください。
集めた証拠は、状況証拠と関連付けて分りやすく管理してください。これで法的措置の準備が着々と進み、誰にでも相談できるようになります。
- グループ対処
一人でできることには限界があり、良かれと思ってした事が逆効果になることもあります。
何をするにも客観的な見解が必要です。信頼できる友人に相談し、支援してもらいながらグループで対処してください。身にあまり、限界を感じるのなら当社などの専門家の支援を受け、アドバイスを受けながら方策を決めてください。
ストーカー対策には、スピードとタイミングが要求されます。
法律家の選任には、民事専門でなく、刑事事件も積極的に扱うアクティブな弁護士を選んでください。
専門家の選別では、「相手をやっつける」といったニュアンスの文言を使う「法律知識に欠ける業者」には、くれぐれも注意してください。(=仕返ししてよいという法律はありません)
- 意思表示
「元恋人からの執拗な復縁要求」や「知人からの常軌を逸した交際要求」など、相手の連絡先(勤務先を含む)を知っている場合は、復縁(交際)の意思がないことを相手に申し渡す必要があります。可能ならこの申し渡しに法律的な意味合いを持たせると良いでしょう。・復縁(交際)する意思はない
・進行中の嫌がらせに困っている
・法的措置も辞さない覚悟である
・辞めなければ法的措置から強制的に解決する
といった内容を「内容証明郵便」から相手に通知します。この内容証明郵便は、郵便物を裁判でも証拠になるようにするための制度で、相手が受け取りを拒否し、読まなかったとしても、被害者に有利な証拠となります。
しかし、事実と異なることを指摘したり強迫的な文言で意思表示すると自分に不利な証拠にもなり得る点に注意が必要です。また文章能力や郵送のタイミングなど、効果的に相手にインパクトを与えるには、いくつかのコツがあります。
- 代理人の選任
穏便に解決するには、相手と面会し、しでかした不始末の違法性を知らしめ、悔い改め、自発的に謝罪し、今後何もしないと誓約するよう誘導していく必要があります。
ストーカー問題で、当事者(被害者と加害者)同士の直接面会はタブーです。何を言っても相手に聞く耳がないはずです。また、家族や共通の友人など、準当事者を代理人にするのもタブーです。何気ない一言が相手の「逆上のスイッチ」を押してしまう可能性があることに注意が必要です。一度の小さな失敗で全てが水の泡になります。誰を代理人に選任するにも専門家の支援を受け、面会要領についてアドバイスを受けておくことをお勧めします。
法律家や専門家を代理人にする場合は、
・法律一辺倒でないこと
・「お任せください」などと軽々しく言わないこと
・難しい質問をしてもお茶を濁さず、即答できること
・人の話を良く聞くことなどが選任の要件となります。
優秀な代理人を選任すれば、相手と一度面会するだけで解決できるはずです。これから先の人生に影響しかねない一大事の解決を任せるわけですから、慎重に選任してください。
- 法的措置
まれに代理人との面会で開き直ったり、嫌がらせをエスカレートさせる加害者がいます。
不始末の責任は、しでかした本人が取るのが常識です。謝りもせず、逆上するようなら問答無用で法的措置を執ります。・殴る蹴るなどの身体的被害を受けており、診断書がある場合には、「障害罪」や「暴行罪」
・BBSへの悪意のある書き込みなら「名誉毀損」
・電話やメールによる被害の場合は「信用毀損(偽計)業務妨害」
など、証拠のある被害については刑事告訴するのもひとつの方法です。
複数の被害を受けている場合は、、まとめて同時に告訴します。各々の犯罪に個別の刑罰規定があります。複合的な犯罪の場合は、軸となる犯罪以外の程度の軽い行為について懲役の期間が半分にするなどの司法判断がされます。また初犯の場合は、送検猶予や起訴猶予などの措置が執られることもあります。起訴猶予であっても問題ありません。相手は警察や検察できつくお灸を据えられ、温情措置として起訴を猶予することを申し渡されているはずです。再発させれば間違いなく実刑を食らい、回を重ねるごとに刑罰が重くなっていく(執行猶予→実刑など)ことも承知しているはずです。解決も間近でしょう。
司法を介入させるには証拠が必要です。
経過を漏れなく記録しており、物的証拠があるのが最低条件です。警察は被害者からも事細かに事情を聴取します。どんな質問にも即答できるように事前準備しておく必要があります。
穏便解決の段階から専門家を介入させていれば、彼らは関与中の経過を記録し、面会などの様子も撮影(録音)しているはずです。これらは被害者に有利な証拠ですし、経験豊富で優秀な専門家なら警察にも同行し、被害者を支援するはずです。
※ストーカー規正法※
電話やメールなどから間接的に継続して嫌がらせを受けており、証拠がない場合などには、 「ストーカー規正法」で被害を届け出るという手段もあります。しかし、いきなり「逮捕→送検→起訴→裁判→刑罰の確定」といった司法手続きがされるわけではありません。初期段階でこの法律はストーカー問題を刑事事件として扱わないことに注意が必要です。担当警察官が相手に電話から注意するなどが警察の一般的な対処方法ですが、これで解決するのなら代理人との面会で解決しているはずです。中途半端な司法の介入は、逆効果になることもあります。ストーカー規正法とは無関係に証拠のある被害について司法に判断を委ねるべきでしょう。
・注意
何をするにもタイミングとスピードが重要です。特に、タイミングを見誤ると良かれと思ってしたことが逆効果になる可能性もあります。個人でできることには限界があります。ご自分一人で悩まず、家族や「信頼できる友人」に相談し、2名以上のグループで対応するか、専門家の意見(客観的な分析など)を確認しながら、意思決定をするよう心がけてください。
・嫌がらせ電話
「無言電話」や「早切り電話」などの嫌がらせ電話への対応策として、電話番号を変更するのも一つの方法ですが、あまり現実的ではないはずです。しかし証拠を集めるのでなければ着信を拒否するしか方法が無いのが現実です。ナンバーディスプレー機能付の電話機は特定の番号からの着信を拒否することができますが、電話機で拒否動作をするため、毎分数回の執拗な早切り電話などで回線がパンクすることもあります。
・迷惑電話おことわりサービス
NTTが一般加入電話用に提供している有料サービスです。
嫌がらせ電話を止めるのに一番効果的です。6件の番号からの着信を拒否できる「サービス6」(600円/月)と30件止めれる「サービス30」(700円/月)の2種類から選択でき、一度登録してしまえば、その番号(公衆電話にも対応)からの着信をNTT局内で拒否するため電話のベルも鳴らず、他の通話に干渉しません(=キャッチで割り込んでこない)。電話のたびに相手には課金され発信記録が残ります。拒否した番号や相手の発信記録を利用者が知ることはできませんが、記録は保存され、警察からの依頼があれば開示(捜査協力)されます。
利用者は、着信拒否の累積件数を確認できるため、定期的に確認すれば状況を把握できます。
操作はシンプルで、4桁の数字をダイヤルするだけで登録・削除できます。押しつぶされるような精神的圧迫から開放され、法的措置のための証拠収集にも利用できます。
利用するには書類申し込みが必要で、申し込みから2週間程度で利用できるようになります。116から問い合わせてください。
・録音と撮影
穏便に解決するためにも証拠は重要です。
通話を録音できればベストですが、メモとして書き残すのも有効な手段です。また、着信モニターを写真に撮るだけでも証拠になります。携帯電話の録音機能は録音時間が短く、着信記録の件数に限りがあり、古い順に自動消去されるため注意してください。
録音には「ICレコーダー」が適しています。小型で携帯しやすく、延長マイクを電話機のスピーカーに押し付けるだけでクリアな音声記録(証拠)を確保できます。IC内の音声(電磁)記録をコンピューターに取り込める機種だと証拠管理が格段に楽になります。
無言電話は録音する必要はありません。モニターの着信画面を撮影するだけでOKです。
撮影には、高感度フィルムのおかげで撮り損じの少ない「使い捨てカメラ」が適しています。非通知着信でも、相手の発信記録と日時が合えば証拠になるので心配する必要はありません。
・注意
電話だけでなく、メールなどからも嫌がらせをされている場合に、全ての嫌がらせを強制的に排除してしまうと、「つけ回し」や「待ち伏せ」にエスカレートする可能性があります。相手をコントロール(証拠収集を含む)するため、意図的に窓口をひとつだけ残しておくと良いでしょう。これで相手に気付かれることなく主導権が被害者側に移ります。どうするのか決めるには、トラブル全体の推移や相手の心理状態などからタイミングを計る必要があります。無料相談から問い合わせてください。
・メール
読まずに削除したいという気持ちはわかりますが、メールには日時と相手のIPアドレスが記録されており、法律的に意味のある証拠になります。受信メールは全て記録するのが基本で、ワードやエクセルから時系列で経過を記録し、個別の記録にリンクを張ると分かりやすく便利です。携帯電話で受けたメールは転送し、全てコンピューターで一括管理するのが理想です。
インターネット上で特定のアドレスからの着信を拒否するにはいくつかの手段があるようです。組み合わせて利用すると良いでしょう。
携帯電話で特定のアドレスを着信拒否する場合は、アドレス指定受信や指定拒否、シークレットコード登録などの端末機能を組み合わせて利用すると効果的です。説明書から確認してください。
・SNS
「悪意のある書込み」に悩んでいる場合は、偽計業務妨害(威力業務妨害の一種)で被害を届け出ることができます。ログを保存する、当該画面を写真撮影しておくなど、目に見える形で証拠を残してください。特定の相手からの書き込みを拒否するには、相手のIPアドレスからアクセス自体を拒否する手段が一般的で、いくつかの方法を組み合わせて利用すると効果的です。
「2チャンネル」などの第三者が主催するBBSへの「悪意のある書き込み」に悩んでいる場合も、まずは証拠を残してください。問題の書き込みを削除させたり、BBS自体を閉鎖させるには主催者に被害を訴え、対応させるしか方法がありません。
この類のBBSは主催者責任を放棄し、書き込み者本人に責任転換しているケースが多いため、主催者から良心的な対応が得られなければ、仮処分申請などで司法の力を借りてプレッシャーをかけます。
・つけ回しや待ち伏せ
嫌がらせ電話などで満足できなくなった加害者は、被害者をつけ回したり待ち伏せたりと嫌がらせをエスカレートさせます。辞めさせるのに必殺技はありません。回数と頻度次第では被害を届け出ることができますが証拠を集めにくいのが問題です。
出勤や帰宅の時間を不規則にする、乗車する電車をずらせるなど、少しの工夫で状況は改善しますが偏執狂的な加害者には効果がないかもしれません。家族に駅まで送ってもらう(迎えにきてもらう)、友達と出かけるなど、いつも複人数での外出を心掛けてください。
相手を見かけるたびに撮影する、友達に協力してもらい外出中の自分を距離をおいて監視してもらうなど簡単悪風で証拠を確保できます。証拠さえあれば警察に相談でき、裁判所に接近禁止の仮処分を申請することもできます。
・注意
「つけ回し」や「待ち伏せ」はエスカレート段階です。これらで満足できなくなれば「暴行・傷害」や「住居侵入」など、凶悪犯罪にエスカレートする可能性があります。中途半端な対応も同じような結果につながるかもしれません。限界を感じられたら無理をせず、法律家や専門家に相談してください。
「嫌がらせ電話」と「つけ回」しなど、2種類以上の被害が同時進行している場合は、要注意です。
当社では「無料相談」を準備し、回答として「無料コンサルト」を提供しています。まずは専門家の意見を確認し、今後どのように対応するのかを決めてください。
(2014年2月12日に一部内容を更新)