ドンファン事件についての所見

すでに一年半ほど経過していますが、いまだに和歌山のドンファンこと野崎社長の一件に関連してお問い合わせいただくことがあります。

実は、野崎社長がご健在の頃から安全管理についてご意見申し上げており、事務所やご自宅の安全管理については具体的にアドバイスしたのです。しかし、一連の報道から事務所とご自宅前の素人細工な監視カメラ群に全く変化がないなど、せっかくのアドバイスが全く活かされていないことを知り愕然としました。ほんの少しでも参考にしていただき、簡単な工夫をされるだけで充分に効果をご実感いただけたはずでしたのに...残念です。

野崎社長が亡くなられた件については、当社が関与していればあのような結果にはなり得ず、本当に残念です。事件なのか事故なのかについては知る由もありませんが、自分が事件の黒幕と仮定して考察すると、大量の覚醒剤を手配できるほどのチームを組んでいるのに、経験不足な若年女性を加え、犯罪行為を実行させることなどありえません。万が一に実行させ、さらに万が一に成功したとしても必ずボロが出ます。警察の目を欺くことはできません。一ヶ月も持たずに全員が逮捕されているはずです。ありえません。そのため奥様が犯人、または犯人グループの一員ということはないと考えています。

奥様については相続問題の渦中にあり、今でも外出しづらい状況と推測でき、大変にお気の毒です。
相続とは、プラスだけでなくマイナスの遺産も相続するということです。野崎社長がお亡くなりになり、犯罪との因果関係が特定されず、もちろん犯人も逮捕されていません。相続後の身の安全に多大なご苦労が必要な奥様の不安定な状況はまさしくマイナスの遺産であり、相続税については、安全管理などに関わるコストを差し引いた遺産に課税されるべきと考えます。

このことは自治体との遺産分割協議にも反映させるべき要素であり、自治体がマイナスの遺産(遺族に対する脅威)を相続することなどありませんので、割合決定に加味されるべきと考えるのが妥当です。

奥様への脅威としては、

・組織犯罪者
・半グレ集団
・詐欺師

などのグループ、または思い上がった個人による

・脅迫・強要・拉致・監禁等の直接的な犯罪行為
・詐欺や威力による詐取

などが考えられます。
誘拐については、誘拐された奥様ご本人に身代金を支払う手段はないため、拉致・監禁に関連して強要されるか強奪されると考えるのが妥当です。
チヤホヤしながら近づき、信頼を得ながら金員を騙し取る詐欺行為、ありもしないデマで脅迫してくるケースなどもあり得ます。チヤホヤされるのには裏がある...注意してもらいたいです。

また、無神経で過度なテレビ報道などで相続が世間に知らされると、誰もが奥様をセレブとして扱うようになるでしょうが、潜在的な犯罪を顕在化させる要因にもなります。

これらの脅威への奥様にできる対応としては...
特に、お一人での外出は厳に慎まれることをおすすめします。加えて犯罪を企む者を下見段階で躊躇させる手段を検討されるとよいでしょうし、日々の安全管理に緊急時の即応能力も持たせられると万全でしょう。

まずは、(チヤホヤしない)信頼できる専門家、または本件と利害関係にない専門家から意見を聞かれることをおすすめします。

組織危機管理

危機管理とは不利益を可能性の段階から徹底的に排除・予防し、それでも発生するトラブルの被害を最小限に抑制するために整備するシステム全体を意味します。

問題となるのはシステム自体に目に見える生産性がないことで、費用対効果などを理由に多くのケースで議論の対象になります。
しかし従来の「臭いものには蓋をする」方式から対応を怠ると組織自体の信用を失墜させる最悪の結果につながることもあります。一度失った信頼を回復させるためには無限の時間と莫大なコストを必要とします。

逆にトラブルも対処の方法によっては利益につながることに着目するべきです。

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・効果的な組織危機管理の事例
アメリカの大手製薬会社ジョンソン&ジョンソン社の鎮痛剤タイレノールに毒物が混入され、死亡者が出る事件がありました。同社はマスコミが嗅ぎつける前に記者会見で事実を公表し、謝罪。外部の専門家の意見も取り入れ、生産から輸送、販売まであらゆる分野で次々と対応策を決定。マスコミをフル活用して世論に積極的な姿勢をアピールしました。
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結果として同社は急速に落ち込んだ市場シェアを8か月で回復させることに成功しました。
肝心なのは「積極的な対応」です。
マスコミが嗅ぎつけ「ばれる」のと指摘される前に自ら進んで「意見を仰ぐ」のとでは聞き手(世論など)の印象に雲泥の差があります。

トラブル解決のための主導権は当事者にあるべきで、マスコミやマスコミに扇動される世論に掻き乱されるべきではありません。
この関連して発生するトラブルを予防するには積極的に情報を開示する必要があります。様々な見地からの意見を取り入れながら対応策を決め、問題解決のために努力する「積極的な姿勢」を見せる事と「目に見える行動力」を示し、問題解決を成し遂げることこそ最善の危機管理システムでしょう。

このような「積極的な即応能力」の整備に平行してトラブルを可能性の段階から防止する「予防型の危機管理」を整備していくと効果的です。それには組織全体で危機管理システムを構築する必要があります。
概要としては、

  1. 委員会の設立
    危機管理委員会の設立が第一段階です。
    即応体制を充実させるために委員長は取締役など組織としての意思決定のできる役職者を選抜するのがベストです。
    この委員会で対組織内と対外、予防と即応などについて基本方針をまとめ、大概的なコンセンサスを決定します。
  2. 即応チームの編成
    第二段階として、委員会の示す指針を元に商品管理などの対組織内の即応チームと渉外なども受け持つ対外即応チームを編成します。
    各々の即応チームの下にはさらに細分化されたチームがあり、それぞれの専門分野を受け持ちます。
  3. 情報伝達の範囲の決定
    トップダウンでスピーディーに関係者全員の意思統一を図るだけでなく、伝達する範囲の決定も重要です。対組織内と対外など、無関係の情報を全員に伝達しても意味がありませんし、情報漏れの危険性も生まれます。
    「ニード・トゥー・ノー(知る必要のある者だけ知る)」を念頭に、どの情報をどのセクションまで知らせるのか決めることも大切です。
    またトラブルを予防するためには各現場から情報を吸い上げ、分析するシステムの編成も重要です。
  4. 運営と能力維持
    危機管理システムの運営で重要なのは関係者への意識付けの徹底と能力の維持向上を図ることです。特に即応チームのメンバーが専従でなく他業務との兼任である場合は、定期・不定期にシナリオに沿った予行演習を実施するのが効果的です。このシナリオプログラムは他のセクションや部外者との連携も視野に入れた内容で実施されるべきで、システム全体の能力向上を計ります。

などが挙げられます。

システム構築のためのアドバイスや能力の維持向上に関するシナリオの運営などについて、直接に参画させていただく準備をしており、安全確保のための皆様のご尽力の最先鋒として機能できる体制を整備しています。

まずは無料相談からお問い合わせください。

(2014年2月12日に一部内容を更新)

不法投棄(現状と対策)

廃棄物処理に関連する法律が施行され、どんなゴミを捨てるのにも費用がかかるようになりました。特に産業廃棄物については近隣住民の合意が必要となり、新規に処分場を建設するには「越えなくてはいけないハードル」が高くなっています。これらを理由に河川敷や山林などの人目につきにくい場所への不法投棄が増加しています。

不法投棄されるゴミとしては、鉄筋入りコンクリートなどの建設廃材(産廃)が代表的ですが、使用済み注射器などの医療廃棄ゴミ、冷蔵庫などの大型家電や雑誌や生活ゴミ、廃油などありとあらゆるゴミが捨てられています。

現状
継続して現状をリサーチしており、、一番理解しやすい「車の不法投棄」紹介します。

  • 第一段階
    2
    一定期間に同じ場所に放置されている車に河川管理事務所(国土交通省)が警告書を貼り付ける(中央の窓の白い張り紙)
  • 第2段階
    3
    警告書を見て放置車両と確認した「無関係の不届き者」がタイヤやホイールなどの使えそうなパーツを盗み、車を丸裸にする。(放置から3ヶ月程度が経過している)
  • 最終段階
    4
    タイヤがなくなり、撤去できなくなった車の窓を誰かがふざけて割る→ゴミが投げ込まれる→使えそうなエンジンパーツだけ盗む→火をつけて燃やすなどして手がつけられなくなる。(放置から1年以上が経過している)
  • 悪質なケース
    1
    この場所は鮎釣り漁船の波止場で、堤防道路から緩やかなスロープになっている。車を川に沈めるには最適の場所で、投棄(犯行)後にも逃げやすいだろう。このケースでは入水自殺と勘違いした市民が110番通報したらしく、パトカーだけでなく救急車まで出動し、現場は騒然としていた。

撤去にはクレーンが必要であろうし、運搬と処理にも費用がかかる。犯人を見つけられなければ、この場所を管理する自治体が自腹(=税金)で後始末することになる。
・代表的な不法投棄の例
作業がしやすいように開けた場所に投棄している。ジャッキアップしてブロックを押し込むという作業を4回繰り返し、ホイールごとタイヤを外して持ち去っている。他にもハンドルなどのチューンしてあったと考えられる部品は全て外している。車体番号も削り取られており、所有者の特定が難しい。このケースでは撤去と運搬に4万円程度の費用がかかる。

これら3件は全てとある都府県の県境河川敷で撮影しています。
一級河川の河川敷は国土交通省(旧建設省)の管轄ですが、隣接する自治体が部分的に借り受けていたり、国土交通省から委託されていたりと、複雑に管理されています。警察もよほどの緊急性がない限り、河川敷をパトカーの巡回経路に組み込むようなことはしません。

国土交通省傘下の河川管理事務所の車両が毎日巡回していますが、ルートが決まっており、事後確認をしているだけで、抑止力(予防策)にはなっていません。その中でも不法投棄された車に警告書を貼り付けるなどの事務的な対応には、逆効果との印象を強く受けます。

建設廃材を違法に投棄する建設業者の中には、地元の族議員などと結託している者もおり、河川を直接に管理する自治体を黙らすことこともあります。今も昔も行政改革で最大の足枷になっているのが族議員の問題ですが、これは環境問題にも当てはまります。

・対策
この問題を解決するには、組織的な連携が必要です。
まずは違反者への罰則(罰金の細分化やボランティアでの河川清掃の義務化等)など、不足している法律を整備するのが第一段階。
次に国土交通省と環境庁が音頭をとり、隣接する自治体と連携しながら対策を決め、必要な罰則条例を自治体単位で整備していく必要があります。現在の複雑な河川管理の現状をシステム化し、責任の範囲を明確化していけば自ずと対策(具体的な対応策の骨子)も構築できるでしょう。肝心なのは、族議員の理不尽な陳情に耳を貸さない断固とした姿勢で、少なくとも国土交通省には独立した専従の部署を設置し、自治体の担当者からの情報を漏れなく吸い上げ、活用するシステムを整備する必要もあるでしょう。

抑止力には警察の支援が不可欠ですが、夜間監視能力が必要でしょうし、通常の巡回パトロールでは確認しづらい堤防の内側(もっとも不法投棄の多い場所)をどこからどのように監視し、どのように証拠を確保するのか?現行犯逮捕までするのか?警察との連携は?など、流動的な必要性が要求する能力には限りがありません。
また、裁判所による行政処分までのスピードも重要でしょうし、マスコミを有効に活用できなければ、せっかくの抑止力を世に知らしめることもできません。

実際の「抑止力」としては警備会社などが候補に挙がるでしょう。
しかし、監視カメラを仕掛け、警報装置の作動後に最寄の警備員が現場に駆けつけるホームセキュリティーの延長のような警備システムでは、この手の「やり逃げ型犯罪」には効果がないでしょう。また、工事現場の交通誘導を主たる業務とする大多数の警備会社には建設業者とのしがらみがあるでしょうし特殊な能力を要求するのも酷でしょう。

(2014年2月12日に一部内容を更新)

警備業法

警備業は認定事業です。

探偵社などが身辺警護をうたい文句に広告宣伝しているケースを良く見かけますが、警備業の営業認定を受けていなければ警護すること自体が違法行為です。準警察的な意味合いが強く、社会的責任の要求される業種であり、誰でも気軽に営める職業ではありません。

国内の警備会社は全て「警備業法」という法律の規定に基づいて、警察から営業認定を受け、厳しく管理されながら営業しています。

営業認定には「警備員指導教育責任者」資格が必要で、下記の警備区分ごとに警察主導で実施される講習で試験をパスした者に与えられます。受講には3年以上(実質は5年程度)の実務経験が必要です。

この資格を根拠に公安委員会に営業認定を申請しますが、犯罪歴はないか?暴力団など組織犯罪に関与していないか?などについて警察から厳しいチェックを受けます。この段階で前科を持つ者(5年以内)や組織犯罪者が排除されます。

認定を受け、営業を開始しても、警備員への半年毎の教育義務、適正な業務運営などについての事細かな規定を遵守する必要があります。半年毎に所轄警察署から立ち入りを受け、不備があれば認定を取り消されることもあります。
警備業法では、警備業務を

  • 1号警備 (施設警備)
  • 2号警備 (工事現場などの交通誘導・雑踏警備)
  • 3号警備 (現金輸送)
  • 4号警備 (身辺警護)
  • 機械警備 (ホームセキュリティ)

に分類分けしています。
依頼を受け、上記の警備業務を提供すれば警備業を営んでいると判断されます。営利を目的に警備し、領収書を発行すれば警備業であると言えば分かり易いでしょう。
機械警備については、「警備員指導教育責任者」とは別の資格が必要となり、適した場所への待機所の設置や25分以内のレスポンスタイムなど、さらに厳しい制約を受けます。他にもスーパーなどでの万引きを防止する保安警備などがあります。

各々の業務ごとに個別の教育義務があります。
新人採用時には、法律などの基本教育を15時間、業務別の教育を15時間と最低30時間の新任教育を実施し、経験豊富な警備員にも半年毎に最低8時間の教育義務が課せられます。過去の職歴や保有資格に合わせて時間数が減免されることはありますが、警備員が何の教育も受けずに現場に出ることはありません。また、2号警備に従事する警備員を1号警備に配置換えする場合は、新任の業務別教育(15時間)を受けさせる必要があります。

半年毎に所轄警察から立ち入り検査を受けます。
「教育に不備はないか?」「適正に業務運営をしているのか」「護身用具の管理は?」など、事細かにチェックされ、書類の管理に少しでも不備があればペナルティで、教育時間を多く見せかけるなどするとアウトです。あまりに悪質だと認定を取り消されることもあります。
これまでに教育時間などで問題を指摘されたことはありませんが、2号警備を主体とする警備会社の中には、3月の繁忙期に教育を省く業者もいると聞きます。ただでさえ工事だらけで危ない3月に、何の教育も受けていない警備員の誘導で車を走らせているのかと思うとゾッとします。

このように警備業法は、警備業務を適正に運営するための公安委員会(警察)との約束事です。
多くの規定(制約)をコストと見るか、社会的責任を果たす上で当然の義務と受け取るかは意見の分かれるところですが、抜かりなく適正に運営し、不備さえなければ、身分が公的に証明されます。身辺警護のような社会的信用が重要な意味を持つ業務を営む者としては、ありがたい限りです。

(2014年2月12日に一部内容を更新)

2014/02/24 | カテゴリー : 法律, 警備 | 投稿者 : taken

ケース1 身辺警護

身辺警護を利用していただいたG1の武豊騎手からご了解をいただき、画像掲載が実現しました。

  • 国内某空港のサクララウンジ
    bg000
    このラウンジは手荷物チェック後の搭乗待合室の片隅にあり、パスワードでドアが管理されJAL会員しか入れない。当日は旅客機にお乗りいただくまでの契約で、同乗しない警護員2名は搭乗券なし、護身用具携帯のまま手荷物チェックを通過、サクララウンジまで入った。VIP身辺警護ではノウハウと事前の段取りが重要。ついて回りのやっつけ仕事では待合室まで入ることすらできない。
  • イベント会場での降車誘導
    bg002

    大勢の観客とマスコミの前を通過して歓迎式典のステージ(屋外)に向かう。式典中はステージ脇から警護し、警護車輌も待機中。警護対象者が有名人の場合は観衆への対応に気を使う。小さな混乱も群集心理であっという間に収拾がつかなくなる。押しのける、殴る、蹴るなどの失礼があってはならない。
  • 施設内での警護
    bg004
    パブリックスペース(公共の施設)では、無関係の第三者への配慮も重要。睨みつけたり、威嚇してはいけない。余計なトラブルの元で依頼主の評判にも影響する。
  • 別会場での降車誘導
    bg007

    車両から施設に入るまでが最も気を使う。周囲360度の人垣の中には、あたかも友人のふりをして握手を求めてくる者もいる。この類の観衆への対応も事前協議の中で「どこまでなら黙認するのか」などの対応手順を確立しておく。