(1998年頃公開、2014年2月7日に一部内容を更新)
離婚後の家族面会で元妻(依頼人)と子供(幼児)に暴力を振るう元夫を止めた瞬間。フラッシュなしで撮影した画像を修復したもので、DV事案の切迫性と緊張感を伝えるため、依頼人から了承を得て公開する。
ぼやけて見にくいが、画面右の元夫は社会的に地位が高く、誰もが認めるエリートである。しかし無趣味で人付き合いが苦手な彼は、エリートを装うストレスを家族への暴力で晴らす。まさに典型的なDVである。
この戦闘態勢の元夫は、無謀にも画面左のボディガードに殴りかかり、あっという間に組み伏せられた。
当日は元妻の自宅への嫌がらせもあり、通報後にやってきた警察官によると「警察が対応すると暴行をエスカレートさせてしまう可能性もあり介入したくない。」(要約)との事。
法律が整備されていなかった当時は行政や司法がDV問題に積極的に介入できなかったが、2014年現在では、証拠なしでも切迫性があればシェルターに避難できる、明確な証拠がなくても警察が警告できるなど法律が整備されている。勘違いしてはならないのは、これらがあくまで行政処分程度の措置であり、刑事事件ではないことで、事件化するのであれば状況証拠と物的証拠を継続して集め、客観的に分析し、冷静に被害を訴えるひつようがある。
このケースでは依頼人が当社のコンサルトを受け、身辺警護を利用する事で事態の切迫性を訴え、警察が依頼人の自宅周辺をパトカーの巡回経路に組み込れるなどの措置が執られ、以降元夫の荒唐無稽な主張や執拗な面会要求なども影を潜め、自体が沈静化し、時間経過とともに解決した。
夫婦間の揉め事は長年にわたる「しこり」が理由であることが多いが特にDVでは幼少期から形成される人格(性格)に問題があるケースも多く、最低でも生活を分離し、離婚を前提に対応しなければ根本解決は無理である。例えば一時的にシェルターに逃げ込み、強いショックを受けた夫が更生を誓い、実際更生したとしても、元の生活に戻ればいずれ近い将来に再発する。
DVも「安定→蓄積→爆発」の無限ループがあることに注意が必要である。
何よりも、実の父親から暴行を受け、実の母親から父親の悪口を聞かされる幼い子供の心中を察すると、ひどく胸が痛む。
このケースの後に当社のストーカーDV対策は、加害者が過去の行為を悔いて自発的に謝罪し、今後何もしないと決意表明するよう誘導(カウンセリング)していく方式(ケース3)に変化した。2014年現在まででこの方法で解決したケースでの再発率は0%である。